ベジャール・ガラ#バレエ
今年のバレエ鑑賞第一弾は東京バレエ団の 『ベジャール・ガラ』。
演目は 「ギリシャの踊り」 「中国の不思議な役人」 「ボレロ」。 それぞれがベジャールの天才ぶりを存分に味わえる演目で良かったが、 今日は文句無しに「ボレロ」が一番だった。 メロディーを踊るのはシルヴィ・ギエム。 圧巻だった。 シルヴィ・ギエムは私の一番好きなダンサーだが、それでも、今まで何度も観てきた シルヴィが踊る「ボレロ」に心を動かされることは一度もなかった。 でも今日は明らかに今までとは違ったのである。 「ボレロ」では女性がメロディーを踊るとどうしても「生贄」の印象になりがちだが、 シルヴィーはあまたのダンサーを従える長(おさ)であり、強烈なリーダーシップを 示すだけではなく、そこにはもっと圧倒的な何か、魅かれ、ついていかずには いられない、とてつもなく温かいものが感じられるのである。 円舞台で一人で踊っているのではなく、周りのダンサーたちを巻き込んで どんどん引き寄せて、全ての意識が一体となっていく感じ。 この人はまだ進化しているのかと衝撃を覚えるほど、それは胸に迫るものだった。 踊り終えて、素のやわらかな笑顔で観客に挨拶するシルヴィーを見ていると、 ホッとするやら、嬉しいやら、色々な感情が押し寄せてきて、 「ありがとう、ありがとう」 と心の中でつぶやきながら、もう無我夢中で拍手をしていた。
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